健康的な食事

1日にナトリウム(食塩)はどれくらいまでにすればいい?

塩の容器、ピザ1切れ、スープのボウル、スライスした七面鳥の加工肉、ピクルスの瓶が並ぶイラスト。1日にナトリウムをどれくらいまで摂ってよいかを示しています。

1日のナトリウムの目安は、日本では食塩の量で示されています。日本人の食事摂取基準(2025年版)が成人に掲げる目標量は、食塩相当量で男性1日7.5g未満、女性6.5g未満です。ナトリウムの量で示す海外の上限はもう少し厳しく、2025〜2030年版の米国の食生活指針は14歳以上のすべての人に2,300mg未満を求めています。食塩にして約5.8g、すりきり小さじ約1杯で、米国の食品表示に印刷されている1日の基準値もこの数字です。世界保健機関(WHO)はさらに低い2,000mg未満(食塩5g未満)、米国心臓協会(AHA)は多くの成人にとって1,500mgが理想としています。そして正直に言えば、ほとんどの人はどの数字にも届いていません。日本人の食塩摂取量は1日約10gで、WHOが勧める量のおよそ2倍です。米国の平均はナトリウムにして約3,400mgで、その大半は包装食品や外食の料理に最初から入っています。本ガイドでは、機関ごとの上限を示し、食塩とナトリウムの換算のしかたを説明し、身近な食品に実際どれだけ入っているかを並べ、最後に、手間が少なく効果の大きい減らし方を紹介します。

手早い答え

主要な機関の数値は近いところに集まっていて、違いは、どれだけ余裕を持たせるかにあります。

機関1日の上限食塩にすると
日本(食事摂取基準2025年版)、18歳以上の目標量ナトリウムにして男性約2,950mg未満、女性約2,560mg未満男性7.5g未満、女性6.5g未満
米国の食生活指針(2025〜2030年版)、14歳以上ナトリウム2,300mg未満約5.8g
米国FDAの栄養成分表示1日の基準値2,300mg約5.8g
全米アカデミーズ(2019年)2,300mgを超えていれば減らす、必要量は1,500mgで足りる約5.8g、3.8g
米国心臓協会(AHA)多くの成人にとって理想的な上限は1,500mg約3.8g
世界保健機関(WHO)2,000mg未満5g未満
欧州(EFSA、2019年)2,000mgで安全かつ十分約5g
英国(NHS)約2,400mg6g以下

まずは日本の基準からです。日本人の食事摂取基準(2025年版)は、生活習慣病の発症予防のための目標量を、18歳以上の男性で食塩相当量7.5g未満、女性で6.5g未満としています。興味深いのはその決め方です。基準は、日本を含む各国のガイドラインから、高血圧の予防と治療には6g未満が望ましく、できるだけこの値に近づくことを目標とすべきだと述べています。そのうえで、WHOが強く推奨する5g未満をそのまま目標量にするのは実施可能性の観点から適切ではないとして、WHOの5gと、平成30・令和元年国民健康・栄養調査における摂取量の中央値との中間の値を目標量にしました(厚生労働省、日本人の食事摂取基準(2025年版)ミネラル)。つまり日本の目標量は理想の値ではなく、現実との折り合いをつけた途中の目標です。基準自身も、今回の値を前回と同じにしたのは最適だからではなく、食塩摂取量に大きな変化がなかったためで、さらなる減塩を続ける必要があると書いています。高血圧と慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための量は、男女とも食塩相当量6g未満です。表のナトリウムの値は、この目標量を2.54で割って換算したものです。

海外の基準も見ておきましょう。2025〜2030年版の米国の食生活指針は、14歳以上の一般の人々に1日2,300mg未満のナトリウムを求め、子どもにはより低い上限を設けています(米国人のための食生活指針、2025〜2030年版)。同じ数字が米国の栄養成分表示の1日の基準値で、FDAはこれを食塩小さじ約1杯分と説明しています(FDA)。もとをたどると全米アカデミーズで、2019年の見直しは、14歳以上のすべての人に2,300mgを超えているなら摂取を減らすよう求め、体の必要量をまかなう量を1,500mgとしました(全米アカデミーズ、2019年)。米国心臓協会は1,500mg未満まで下げることを勧めています(Whelton et al., 2012)。WHOの上限はナトリウム2,000mg未満、食塩にして5g未満で(WHO)、欧州食品安全機関(EFSA)は、成人にとって1日2.0gのナトリウムを安全かつ十分な摂取量としています(EFSA、2019年)。英国は成人に食塩を1日6g以下、すりきり小さじ1杯ほどにするよう勧めています(NHS)。

実用的な答えは、ひとつの数字にまとめられます。ナトリウム2,300mg未満、食塩にして約5.8g未満です。日本の目標量より少し厳しく、WHOの5g未満より少しゆるい、ちょうどその間にある数字で、本ガイドでもこれを目安にします。さらに余裕を持たせたいなら、米国心臓協会の1,500mg(食塩約3.8g)を目指しましょう。高血圧や腎臓病で治療を受けている人は、一般向けの数字より、主治医が示す目標を優先してください。

食塩とナトリウム:換算のしかた

表示やガイドラインでは2つの言葉が入れ替わりに出てきて、その差はおよそ2.5倍です。食塩は塩化ナトリウムで、重さの約40パーセントがナトリウムです。日本の食事摂取基準は、食塩相当量をナトリウムの量に58.5/23、つまり2.54を掛けて求めるとしています。58.5は食塩のモル質量、23はナトリウムのモル質量です(厚生労働省、2025年版)。食品表示でも同じで、消費者庁は食塩相当量の計算式を「ナトリウム(mg)×2.54÷1000」と示しています(消費者庁)。EUの食品表示は、同じ換算を切りのよい2.5で行っています(EU規則1169/2011)。なお、日常では「塩分」とも言いますが、食事摂取基準は、塩分という言葉には食塩や食塩相当量としての意味はないとして、この呼び方に注意を促しています。

  • ナトリウムから食塩へ:2.54を掛けます。ナトリウム2,300mgは、食塩にして約5.8gです。
  • 食塩からナトリウムへ:2.54で割ります。食塩1gはナトリウム約394mgなので、ざっと400mgと覚えておけば十分です。食塩6gなら約2,400mgです。
  • 食塩小さじ1杯:すりきり小さじ1杯の食塩は約6gで、ナトリウムは約2,325mg。これだけで1日分に届きます(USDA)。

この違いは、表示を読むときに効いてきます。日本の栄養成分表示では、ナトリウムは食塩相当量としてgで示され、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物と並ぶ義務表示の5項目のひとつです(消費者庁)。ナトリウムの量をmgで書けるのは、生鮮食品と、ナトリウム塩を加えていない加工食品に限られ、その場合も「ナトリウム ○mg(食塩相当量 ○g)」のように食塩相当量を添えて書きます(消費者庁、栄養成分表示のためのガイドライン)。1日の基準値に対する割合の欄はないので、自分の目標量と見比べるのは読む人の役目です。数値が100gあたりなのか、1食分や1袋あたりなのかも、商品ごとに確かめてください。参考までに、米国の表示はナトリウムを1食分あたりのmgで示して1日の基準値に対するパーセントを添え、EUの表示は食塩を100gあたりのgで示し、参考摂取量を6gとしています(EU規則1169/2011)。表示のほかの項目は、栄養成分表示の読み方のガイドで順を追って解説しています。

子どもの上限

子どもは食べる量が少ないので、上限も低くなります。日本の食事摂取基準(2025年版)は、子どもの目標量を年齢別に食塩相当量で定めています(厚生労働省、2025年版)。

年齢男性の目標量女性の目標量
1〜2歳3.0 g未満2.5 g未満
3〜5歳3.5 g未満3.5 g未満
6〜7歳4.5 g未満4.5 g未満
8〜9歳5.0 g未満5.0 g未満
10〜11歳6.0 g未満6.0 g未満
12〜14歳7.0 g未満6.5 g未満
15〜17歳7.5 g未満6.5 g未満

米国の2025〜2030年版の食生活指針は、ナトリウムで次の上限を定めていて、全米アカデミーズの2019年の値とぴったり一致しています(米国人のための食生活指針、2025〜2030年版全米アカデミーズ、2019年)。食塩の値は2.54で換算しています。

年齢ナトリウム(未満)食塩にすると
1〜3歳1,200 mg約3.0 g
4〜8歳1,500 mg約3.8 g
9〜13歳1,800 mg約4.6 g
14歳以上2,300 mg約5.8 g

なぜ上限が大切なのか

ナトリウムを摂りすぎると血圧が上がり、心臓病と脳卒中のリスクが高まります(CDC)。WHOは、ナトリウムの摂りすぎに関連する死亡を年に約170万人と推定しています(WHO)。日本の食事摂取基準は血圧のほかにも、食塩の過剰摂取が高血圧を介して慢性腎臓病の発症と重症化に関わっている可能性や、日本人を対象としたコホート研究で食塩摂取量や塩蔵食品の摂取頻度と胃がんのリスクとの関連が示されたことに触れています(厚生労働省、2025年版)。

試験のエビデンスは一貫しています。34件の試験、参加者3,230人をまとめたコクランのシステマティックレビューとメタ解析では、食塩を1日約4.4g減らすと、血圧は平均で4.2/2.1 mm Hg下がりました。高血圧の人では5.4/2.8 mm Hg、血圧が正常な人では2.4/1.0 mm Hgです(He et al., 2013)。DASH-Sodium試験では、DASH食に低いナトリウム摂取を組み合わせると、高血圧の人の収縮期血圧が、ナトリウムの多い典型的なアメリカ式の食事に比べて11.5 mm Hg低くなりました(Sacks et al., 2001)。この結果の背景にある食事法は、DASH食のガイドで取り上げています。

血圧ではなく、脳卒中や死亡そのものについての最も強いエビデンスは、代替塩と脳卒中の研究(SSaSS)から得られています。中国の農村部の600の村で、脳卒中の既往がある人か、60歳以上で高血圧のある人、合わせて20,995人が参加し、半数の村には塩化ナトリウム75パーセント、塩化カリウム25パーセントの代替塩が配られました。約4.7年の追跡で、代替塩の群は通常の塩の群に比べて脳卒中が14パーセント少なく、主要な心血管イベントは13パーセント、死亡は12パーセント少なく、重い高カリウム血症の有意な増加は見られませんでした(Neal et al., 2021)。

ひとつ、正直に書いておくべき注意点があります。全米アカデミーズは2019年の見直しで、集団として2,300mgを超える摂取は慢性疾患のリスクを高めると結論づけましたが、2,300mgより下げることで全死亡や心血管疾患による死亡のリスクが下がるという十分なエビデンスは見つかりませんでした(全米アカデミーズ、2019年)。さらに下げても血圧が下がることは、上の試験が示すとおりです。まだ答えが出ていないのは、病気や死亡への利益がどこまで続くかであって、ほとんどの人が減らすべきかどうかではありません。

ナトリウムは実際どこから来ているのか

米国と英国では、食卓の塩入れは話のごく一部です。米国人が摂るナトリウムの70パーセント超は包装食品と調理済み食品から来ていて(FDA)、英国でも、食べる食塩のおよそ4分の3は、パン、朝食用シリアル、肉加工品、調理済み食品など、買った時点ですでに食品に入っています(NHS)。FDAが挙げる米国の上位の供給源は、合わせて摂取量の約40パーセントを占め、デリミートのサンドイッチ、ピザ、ブリトーとタコス、スープ、塩味のスナック、鶏肉料理、パスタ料理、ハンバーガー、卵料理です(FDA)。CDCは米国の平均摂取量を1日3,300mg超とし、チキンナゲットとパンもリストに加えています(CDC)。

日本では、事情が少し違います。食事摂取基準は、通常の食事による主なナトリウムの摂取源を、食塩と食塩を含む調味料だとしています(厚生労働省、2025年版)。厚生労働省の食環境戦略イニシアチブによると、日本人の食塩の摂取源の約7割は調味料で、なかでもしょうゆ、みそ、塩が多くを占めます(厚生労働省)。日本で減塩を考えるなら、加工食品と同じくらい、台所と食卓の調味料が大きな対象になるということです。

パンは、意外に思われがちな食品です。食パン1枚のナトリウムは約142mgで、それだけならたいした量ではありませんが、朝のトースト2枚と昼のサンドイッチの2枚を合わせると、何も塗らないうちに550mgを超えます。

身近な食品のナトリウム

下の表は、米国農務省(USDA)のFoodData Centralの値と現実的な1食分を使っています。「2,300mgに対する割合」は1食分が2,300mgの何パーセントにあたるかを示し、食塩相当量は日本の表示と同じく、ナトリウム(mg)×2.54÷1,000で計算しました。

食品1食分の目安ナトリウム2,300mgに対する割合食塩相当量
食塩小さじ1(6g)2,325 mg101パーセント5.9 g
しょうゆ大さじ1(16g)879 mg38パーセント2.2 g
チキンヌードルスープ(缶詰、具だくさんタイプ)1杯(243g)744 mg32パーセント1.9 g
冷凍チーズピザピザの3分の1(151g)675 mg29パーセント1.7 g
みそ大さじ1(17g)634 mg28パーセント1.6 g
七面鳥むね肉のスライス(加工品)4枚(64g)575 mg25パーセント1.5 g
カッテージチーズ(乳脂肪2パーセント)113g348 mg15パーセント0.9 g
フェタチーズ28g319 mg14パーセント0.8 g
ディルピクルス縦に切った小さめの1本(35g)283 mg12パーセント0.7 g
ツナ缶(水煮、汁気を切ったもの)85g210 mg9パーセント0.5 g
チェダーチーズ28g183 mg8パーセント0.5 g
ケチャップ大さじ1(17g)154 mg7パーセント0.4 g
ポテトチップス(塩味)28g148 mg6パーセント0.4 g
食パン1枚(29g)142 mg6パーセント0.4 g
鶏むね肉(ロースト、味つけなし)85g63 mg3パーセント0.2 g
バナナ中1本(118g)1 mg0パーセント0.0 g

いくつか目を引く点があります。しょうゆは大さじ1杯で1日の3分の1を超え、みそも大さじ1杯で634mgあります。日本の食卓の代表的な調味料が、そろって表の上位に入っているわけです。ツナ缶は、食塩を加えずに作られたものなら210mgから約43mgまで下がります。加工食品のナトリウムの多くが、食品そのものの性質ではなく製造上の選択だということがよくわかります。カッテージチーズとフェタチーズは思ったより塩辛く、大きめのディルピクルス1本(約135g)には約1,090mg、1日の上限の半分近くが入っています。加工していない食品はほぼゼロで、バナナは1mgです。

表のしょうゆは、USDAの一般的なしょうゆの値です。日本のしょうゆについては、厚生労働省の減塩資料が、大さじ1杯(15ml)あたりの食塩相当量を普通のタイプで2.6g、減塩タイプで1.5gとしています(厚生労働省)。

個別の食品については、ピザチーズパンツナのガイドをご覧ください。

ごく普通の1日で2,300mgを超えるまで

ここまでの数字は、どれも単体では大したことがなさそうに見えます。それこそが問題です。とくに変わったところのない1日を組み立ててみましょう。朝食にカッテージチーズ113gとバナナ1本(約349mg)、昼食に食パンで作ったターキーサンドイッチとディルピクルス1本、ポテトチップスの小袋(約1,290mg)、夕食に冷凍チーズピザの3分の1(約675mg)。合わせて約2,310mgで、食塩をひと振りもしないまま上限を超えています。食塩にすると約5.9gで、日本の目標量にはまだ収まって見えるかもしれませんが、この1日にはしょうゆもみそも一度も登場していません。ここに缶詰のチキンヌードルスープを1杯足すと約3,060mg、食塩にして約7.8gになり、日本の目標量を男女とも超え、米国の平均の3,400mgにも近づきます。

どれか1つの食品が危険だという話ではありません。ナトリウムは何十もの普通の商品に薄く広く散らばっていて、その大半を運んでいるのが加工された食品だ、という話です。

味を落とさずにナトリウムを減らすコツ

  1. 表示の食塩相当量を見る。日本の栄養成分表示には、1日の基準値に対する割合の欄がありません。米国の表示にはそのパーセントがあり、FDAは1食分で5パーセント以下なら少ない、20パーセント以上なら多いという目安を示していますが(FDA)、日本では、食塩相当量が何gあたりの数値かを確かめ、同じ量どうしで商品を比べ、自分の目標量と見比べることになります。パッケージの強調表示にも決まりがあります。食品表示基準は、「食塩ゼロ」のような「含まない旨」の表示はナトリウムが100gあたり5mg未満、「塩分ひかえめ」のような「低い旨」の表示は100gあたり120mg以下の食品にしか認めていません。飲料では、どちらも100mlあたりで同じ値です(消費者庁、栄養成分表示のためのガイドライン)。「50%減塩」のような「低減された旨」の表示には、比べる相手の食品より100gあたり120mg以上少なく、しかも25パーセント以上少ないことが必要で、みそは15パーセント以上、しょうゆは20パーセント以上です(消費者庁、食品の栄養成分表示制度の概要)。「食塩無添加」はナトリウム塩を加えていないことを示す別の区分の表示で、「含まない旨」や「低い旨」とは基準が違うので、気になるときはやはり表示の数値で確かめましょう。
  2. いちばん多く摂っているものから減らす。米国ではデリミート、ピザ、スープ、塩味のスナックが上位に並び、日本ではしょうゆ、みそ、塩などの調味料が大半を占めます。よく使う1つか2つを減塩タイプに替えるほうが、全部を一度に減らそうとするよりうまくいきます。たとえばしょうゆなら、上の減塩資料の値で、大さじ1杯あたりの食塩相当量が2.6gから1.5gに下がります。
  3. 自分で料理する回数を増やす。米国の数字が示すとおり、ナトリウムの多くは他人が作った食べ物に入っているので、生の食材から作る食事が1回増えるごとに、塩加減を自分で決められる食事が1回増えます。ただし日本では調味料が主な摂取源なので、自炊でもしょうゆやみその量に気を配ってこそです。外食のときは、目標を崩さずに外食を楽しむ方法のガイドが役立ちます。
  4. 缶詰の豆は汁を切って洗う。5種類の豆の缶詰を調べた試験では、汁を切るだけでナトリウムが平均36パーセント減り、切ってから水で洗うと41パーセント減りました(Duyff et al., 2011)。
  5. 塩以外で味をつける。ハーブ、スパイス、にんにく、しょうが、柑橘類、酢は、ナトリウムを増やさずに風味を足してくれます。
  6. カリウムの多い食品を増やす。野菜、果物、豆類、乳製品はDASHの食事法の柱で、DASH食はナトリウムを減らすことと組み合わせたときに血圧を最も大きく下げました(Sacks et al., 2001)。日本の食事摂取基準も、ナトリウムを減らすと同時に、カリウムを増やすよう心がけることが重要だとしています(厚生労働省、2025年版)。
  7. 代替塩に切り替える前に相談する。カリウムを加えた代替塩は上の試験で脳卒中を減らしましたが、この試験は、カリウム保持性利尿薬やカリウムのサプリメントを使っている人と、重い腎臓病のある人を除外していました(Haghdoost et al., 2024)。どれかに当てはまるなら、まず主治医に確認してください。
  8. 今の自分の位置を確かめる。ほとんどの人は、自分が食べている量を少なめに見積もっています。数日でも食事を記録すると、どの食品が1日をつくっているのかが見えてきます。無料のCalcEatアプリなら、お皿の写真を撮るか、市販食品のバーコードをスキャンするか、手入力で記録できます。健康的な食品の置き換えのリストには、手軽な置き換えがもっと並んでいます。

米国の新しい指針は食塩について何と言っているか

2025〜2030年版の米国の食生活指針は、2,300mgの上限を維持し、ナトリウムの多い高度に加工された食品を避けるよう米国人に求めています。同時に、好みに応じて肉や野菜に塩、スパイス、ハーブで味をつけてよいとも述べています(米国人のための食生活指針、2025〜2030年版)。これに対して米国心臓協会は、塩で味つけしてよいという助言が、意図せずナトリウムの上限を超えさせかねないと懸念を示しました(AHA、2026年)。

ナトリウムがどこから来ているかを思い出せば、2つの立場は両立します。ひと振りの食塩、約0.4gは、家庭で調理した野菜の一皿にナトリウムを約155mg加えるだけです(USDA)。どちらの機関も減らすよう求めている加工食品にすでに入っているナトリウムに比べれば、小さな量です。ただし、ひと振りが二振り、三振りと重なれば、小さな量ではなくなります。

もっと必要な人もいる?

2,300mgの上限は、一般の人々に向けたものです。2025〜2030年版の米国の食生活指針は、活動量のとても多い人は汗で失う分を補うために多めのナトリウムが役立つことがあるとしていて(米国人のための食生活指針、2025〜2030年版)、これが主に関係するのは、暑い中での長く激しいトレーニングです。日本の食事摂取基準も、高温環境での労働や運動で大量に汗をかくと相当量のナトリウムが失われることがあり、水分補給には少量の食塩を加える必要があるとしたうえで、必要以上の摂取は好ましくないと注意しています(厚生労働省、2025年版)。水分の側については、1日に水はどれくらい飲むべき?のガイドで扱っています。反対に、腎臓病、心不全、高血圧がある人には、主治医がもっと低い目標を設定することがあり、その場合は一般向けのガイドラインより、そちらに従う価値があります。高齢の人については、食事摂取基準が、極端な減塩はエネルギーやたんぱく質をはじめ多くの栄養素の摂取量の低下を招き、フレイルなどにつながることも考えられるとして、健康状態や食事量全体を見ながら柔軟に進めるよう求めています。

まとめ

ナトリウムは1日2,300mg未満、食塩にして約5.8g未満を目安にしましょう。日本の目標量は食塩相当量で男性7.5g未満、女性6.5g未満で、高血圧と慢性腎臓病の重症化予防には6g未満、さらに余裕を持たせたいなら米国心臓協会の1,500mg(食塩約3.8g)です。日本では摂取源の大半がしょうゆ、みそ、塩などの調味料、米国では包装食品と外食の料理なので、効くのは、表示を読むこと、よく使う調味料やよく食べる食品を減塩タイプに替えること、そして自分で料理する回数を増やすことです。食塩の約40パーセントがナトリウムで、日本の表示は食塩相当量なので、ナトリウムの数字と比べるときは2.54を掛けて食塩に直しましょう。本ガイドは1日に砂糖はどれくらいまでにすればいい?1日に食物繊維はどれくらい摂ればいい?と並ぶ一本で、目標に合わせた完全なプランが欲しいなら、無料プランを受け取ることもできます。

出典

  1. Dietary Guidelines for Americans, 2025–2030 (sodium under 2,300 mg a day from age 14; 1,200, 1,500 and 1,800 mg for ages 1–3, 4–8 and 9–13; more for highly active people)
  2. US FDA: Sodium in Your Diet (Daily Value 2,300 mg, about 1 teaspoon of salt; average intake about 3,400 mg; over 70% from packaged and prepared foods; sodium claim definitions)
  3. US FDA: How to Understand and Use the Nutrition Facts Label (5% DV or less is low, 20% DV or more is high)
  4. National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine (2019): Dietary Reference Intakes for Sodium and Potassium, report highlights (Adequate Intake 1,500 mg; reduce intake if above 2,300 mg)
  5. National Academies (2019): Sodium, Dietary Reference Intakes Based on Chronic Disease (NCBI Bookshelf)
  6. Whelton et al. (2012), Circulation: Sodium, blood pressure, and cardiovascular disease, further evidence supporting the American Heart Association sodium reduction recommendations (under 1,500 mg a day)
  7. American Heart Association (2026): statement on the 2025–2030 Dietary Guidelines (concern that salt-seasoning advice could lead people to exceed the sodium limit)
  8. World Health Organization: Sodium reduction fact sheet (under 2,000 mg sodium, or 5 g salt, a day; global adult mean 4,278 mg in 2021; 1.7 million deaths a year)
  9. EFSA NDA Panel (2019), EFSA Journal: Dietary reference values for sodium (2.0 g a day is a safe and adequate intake for adults)
  10. NHS: Salt, the facts (adults no more than 6 g of salt a day; limits for children; about three quarters of salt is already in foods we buy)
  11. Regulation (EU) No 1169/2011 on the provision of food information to consumers (salt = sodium x 2.5; reference intake 6 g of salt)
  12. US CDC: About Sodium and Health (average intake more than 3,300 mg; top sources)
  13. He, Li and MacGregor (2013), BMJ: Effect of longer term modest salt reduction on blood pressure, Cochrane systematic review and meta-analysis of randomised trials
  14. Sacks et al. (2001), New England Journal of Medicine: Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the DASH diet
  15. Neal et al. (2021), New England Journal of Medicine: Effect of Salt Substitution on Cardiovascular Events and Death (SSaSS)
  16. Haghdoost et al. (2024), European Journal of Clinical Nutrition: salt substitution and headache in the SSaSS trial (states the trial's exclusion criteria)
  17. Duyff, Mount and Jones (2011), Journal of Culinary Science & Technology: Sodium reduction in canned beans after draining, rinsing
  18. USDA FoodData Central - Salt, table (FDC ID 173468)
  19. USDA FoodData Central - Soy sauce made from soy and wheat (shoyu) (FDC ID 174277)
  20. USDA FoodData Central - Soup, chunky chicken noodle, canned, ready-to-serve (FDC ID 171148)
  21. USDA FoodData Central - Pizza, cheese topping, regular crust, frozen, cooked (FDC ID 170317)
  22. USDA FoodData Central - Turkey breast, sliced, prepackaged (FDC ID 172941)
  23. USDA FoodData Central - Cheese, cottage, lowfat, 2% milkfat (FDC ID 172182)
  24. USDA FoodData Central - Cheese, feta (FDC ID 173420)
  25. USDA FoodData Central - Pickles, cucumber, dill or kosher dill (FDC ID 168558)
  26. USDA FoodData Central - Fish, tuna, light, canned in water, drained solids (FDC ID 173709)
  27. USDA FoodData Central - Fish, tuna, light, canned in water, without salt, drained solids (FDC ID 171986)
  28. USDA FoodData Central - Cheese, cheddar (FDC ID 173414)
  29. USDA FoodData Central - Catsup (FDC ID 168556)
  30. USDA FoodData Central - Snacks, potato chips, plain, salted (FDC ID 169677)
  31. USDA FoodData Central - Bread, white, commercially prepared (FDC ID 174924)
  32. USDA FoodData Central - Chicken, broilers or fryers, breast, meat only, cooked, roasted (FDC ID 171477)
  33. USDA FoodData Central - Bananas, raw (FDC ID 173944)
  34. MHLW (Ministry of Health, Labour and Welfare): Dietary Reference Intakes for Japanese (2025), minerals chapter, sodium section (salt equivalent = sodium x 2.54, p. 243; main sources are salt and salt-containing seasonings, p. 245; tentative dietary goal for ages 18 and over under 7.5 g of salt a day for men and under 6.5 g for women, set midway between the WHO's 5 g and current Japanese intake, pp. 246-248 and Table 1; under 6 g to prevent the progression of hypertension and CKD, p. 249)
  35. MHLW Healthy and Sustainable Food Environment Strategy Initiative: The problem of excess salt intake (Japanese salt intake about 10 g a day, about twice the WHO's under-5 g; about 70% of salt intake comes from seasonings, mostly soy sauce, miso and salt)
  36. MHLW (2025), supervised by the Japanese Society of Hypertension salt reduction and nutrition committee: Salt reduction and potassium POP materials (salt equivalent per 15 ml tablespoon: regular soy sauce 2.6 g, reduced-salt soy sauce 1.5 g)
  37. Consumer Affairs Agency: About nutrition labelling (five mandatory items; sodium is declared as salt equivalent)
  38. Consumer Affairs Agency: Nutrition labelling leaflet (salt equivalent (g) = sodium (mg) x 2.54 / 1000; foods without added sodium salts may also show sodium in mg)
  39. Consumer Affairs Agency (2025): Guidelines for nutrition labelling under the Food Labeling Act, 5th edition (no-added-sodium-salt claim conditions, p. 12; salt equivalent calculated with the 2.54 factor, p. 26; sodium in mg only on fresh foods and foods without added sodium salts, p. 27; Food Labeling Standards, Annex Table 13: sodium 'free' claim under 5 mg, 'low' claim 120 mg or less, 'reduced' claim at least 120 mg less, per 100 g or 100 ml, p. 52)
  40. Consumer Affairs Agency, Food Labeling Division (September 2025): Overview of the nutrition labelling system (a 'reduced' claim needs a relative difference of at least 25%, 15% for miso and 20% for soy sauce, slide 14)
  41. USDA FoodData Central - Miso (FDC ID 172442)

よくある質問

1日にナトリウム(食塩)はどれくらいまで摂っていいですか?

日本人の食事摂取基準(2025年版)の目標量は、18歳以上で食塩相当量が男性7.5g未満、女性6.5g未満です。高血圧と慢性腎臓病の重症化予防のための量は、男女とも6g未満とされています。ナトリウムの量で見ると、2025〜2030年版の米国の食生活指針は14歳以上のすべての人に2,300mg未満(食塩にして約5.8g、小さじ約1杯)を求めていて、これは米国の栄養成分表示の1日の基準値でもあります。世界保健機関(WHO)はもう少し低い2,000mg未満(食塩5g未満)、米国心臓協会は多くの成人にとって1,500mgを理想としています。米国の子どもの上限は、1〜3歳で1,200mg、4〜8歳で1,500mg、9〜13歳で1,800mg未満です。

食塩とナトリウムはどう違うのですか?

食塩は塩化ナトリウムで、重さの約40パーセントがナトリウムです。日本の栄養成分表示はナトリウムを食塩相当量で示し、消費者庁は計算式を「ナトリウム(mg)×2.54÷1000」としています。EUの食品表示は同じ換算を2.5で行います。どちらで計算しても、ナトリウム2,300mgは食塩にして約5.8gで、食塩1gにはナトリウムがおよそ400mg含まれます。すりきり小さじ1杯の食塩は約6gで、ナトリウムは約2,325mg。1日の上限がよく「小さじ1杯」と言われるのはこのためです。

ナトリウムはどこから摂っているのですか?

日本では、主な摂取源は食塩と食塩を含む調味料です。厚生労働省によると、日本人の食塩の摂取源の約7割は調味料で、なかでもしょうゆ、みそ、塩が多くを占めています。米国では事情が違い、FDAによれば摂取するナトリウムの70パーセント超が包装食品と調理済み食品から来ていて、英国のNHSも、食塩のおよそ4分の3は買った時点ですでに食品に入っているとしています。米国の上位の供給源は、デリミートのサンドイッチ、ピザ、ブリトーとタコス、スープ、塩味のスナック、鶏肉料理、パスタ料理、ハンバーガー、卵料理です。

血圧が正常でも減塩したほうがいいですか?

効果は小さくなりますが、やはり役に立ちます。34件の試験をまとめたレビューでは、食塩を1日約4.4g減らすと、収縮期血圧が高血圧の人で約5.4 mm Hg、血圧が正常な人でも約2.4 mm Hg下がりました。日本の目標量も、高血圧の人だけでなく、生活習慣病の発症予防のためにすべての成人に向けて設定されています。自分の数値に問題がなくても、上限の内側に収めておくのは理にかなった目標です。

スポーツをする人や汗を多くかく人は、もっと必要ですか?

場合によっては必要です。2025〜2030年版の米国の食生活指針は、活動量のとても多い人は汗で失う分を補うために多めのナトリウムが役立つことがあるとしていて、2,300mgの上限は暑い中で練習する持久系の選手ではなく一般の人々に向けたものです。日本の食事摂取基準も、高温環境での労働や運動で大量に汗をかくと相当量のナトリウムが失われることがあり、水分補給には少量の食塩を加える必要があるとしています。反対に、腎臓病、心不全、高血圧がある人は主治医が決めた目標に従い、カリウムを使った代替塩に切り替える前には必ず相談してください。